「祐希!!
やめなっ!!!」
ひときわ大きな声が響いた。
慌てて扉を見るとめぐと直人クンが立っていた。
今怒鳴ったのはめぐ…。
「めぐ!
邪魔すんじゃねぇ!!」
「祐希!」
パシンッ
えっ……?
鈍い音がした方向を見ると今度はめぐが怒りに満ちた顔で祐希の顔をビンタしていた。
私は急な事で頭が回らず目をキョロキョロさせていた。
「……だったらどうすりゃいいんだよ…。
許せねぇんだよ!!」
めぐと祐希が喋っている中直人クンが私の傍に来てシャツのボタンを閉めてくれた。
丁度手が震えて閉められなかった私に気づいてくれたんだね……。
その中祐希たちは未だに口論していた。
「あんたがコイツを殴っても美空が傷つくだけなんだよ!!
祐希……
私だって殴りたい。
でもここで意味の無いことをしても私たちは退学させられるだけなんだよ?
だから我慢して。」
少しずつ祐希は平静を取り戻してきたみたいだった。
でもめぐは未だに孝ちゃんに怒ってるのか後ろを振り返り思いっきり孝ちゃんの頬にビンタした。
バチンッ
さっきよりも大きくてホントに怒りに満ちたビンタだった……。
「あんたさぁ。
美空が好き好き言ってるけど普通好きならこんなことしないでしょ?
いくら手に入れられないって分かってても好きな人の幸せを願えないやつは最低なんだから!
あなたは最低なの!!
これ以上心友傷つけたら私が許さないから。」
語尾だけ冷ややかな言葉だった。
でもみんな私を心配して………
嬉しいような
巻き込んでしまった事が辛いような気がしていた。

