都会でも田舎でもない小さな街の小さな中学校。
裏庭にひっそり立つ杉の木の下。
寄りかかり、葉と葉の間から空を見つめる少女。
雲は果てしない空を泳ぎ、太陽は母の愛のように優しく地上を照らす。
ふと上からシャワーのように降り注がれたピアノの音色。
おそらく、真上にある音楽室からだろう。
少女は耳を傾ける。
それは心の奥の奥に隠していた痛みに一直線に向かっていき、暖かく包み込んでいった。
気がつけば少女の瞳からは一滴の涙が頬を伝い、すぐに太陽が乾かした。
暫く少女は目を瞑り、この音色に心を委ねる。
いつまでも、いつまでもこの時間が続けば良いと願いながら。