この二年半。 伊藤君に対するハルカのひたむきな想いを、私は目の前で見てきた。 ハルカが、どんなに伊藤君を好きなのか、一番良く知っている。 だから。 「ハルカ、頑張ってね!」 右手に青い水風船。 左手には、赤いリンゴ飴。 私は、それをギュッと握りしめると、両手でガッツポーズを作って、笑顔でエールを送った。 「あーちゃん、わたし……」 一歩、足を踏み出して、ハルカはためらったように私を振り返った。 揺るぎなかったその瞳の中に、微かに迷いの色が浮かんでいる。