好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


この二年半。


伊藤君に対するハルカのひたむきな想いを、私は目の前で見てきた。


ハルカが、どんなに伊藤君を好きなのか、一番良く知っている。


だから。


「ハルカ、頑張ってね!」


右手に青い水風船。


左手には、赤いリンゴ飴。


私は、それをギュッと握りしめると、両手でガッツポーズを作って、笑顔でエールを送った。


「あーちゃん、わたし……」


一歩、足を踏み出して、ハルカはためらったように私を振り返った。


揺るぎなかったその瞳の中に、微かに迷いの色が浮かんでいる。