他の人たちよりも、頭一つ分高い身長。
二年半。
中学の頃からトータルすれば六年あまり、サッカーで鍛えたしなやかな均整の取れた体躯。
日に焼けた、小麦色の肌。
こうと決めたら、ぜったい引かないその性格を表すような、少し鋭い感じのする、黒い切れ長の瞳。
でも、笑うと、まるでやんちゃ盛りの少年のような屈託のない表情になる彼。
『伊藤君』
伊藤貴史(いとうたかし)君は、私の同い年のいとこ・佐々木浩二の友人でサッカーのチームメイト。
そして。
私、佐々木亜弓の一番の親友・三池ハルカが、入学式の日に一目惚れをしてから今までずっと、一途に思い続けている『片思いの相手』だった。



