好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


――なに、この写真。


こんな写真、撮ったっけ?


「この写真……?」


「あ、それね、浩二君がこの前持ってきてくれたの。自分で撮ったのすっかり忘れていて、部屋の掃除をしてたら出てきたんですって」


「浩二が……」


あいつめ。


こんな写真があること、今まで一言も言わなかったじゃない。



「あーちゃん、この日のこと覚えてる?」


ハルカが、写真を手元に引き寄せて、思い出を辿るように懐かしそうに目を細める。


その姿がとても儚く見えて、私は思わず視線を窓の外に逸らした。


窓の外は、雨。


まるで、止めどない涙のように、降り落ちる雨――。


「覚えてるよ。あの時のハルカは、私の知っている中で一番可愛かったから、忘れないよ」


おどけて言う、自分の声が酷く遠い。