――なに、この写真。
こんな写真、撮ったっけ?
「この写真……?」
「あ、それね、浩二君がこの前持ってきてくれたの。自分で撮ったのすっかり忘れていて、部屋の掃除をしてたら出てきたんですって」
「浩二が……」
あいつめ。
こんな写真があること、今まで一言も言わなかったじゃない。
「あーちゃん、この日のこと覚えてる?」
ハルカが、写真を手元に引き寄せて、思い出を辿るように懐かしそうに目を細める。
その姿がとても儚く見えて、私は思わず視線を窓の外に逸らした。
窓の外は、雨。
まるで、止めどない涙のように、降り落ちる雨――。
「覚えてるよ。あの時のハルカは、私の知っている中で一番可愛かったから、忘れないよ」
おどけて言う、自分の声が酷く遠い。



