好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


こうなったら、浩二を話のツマにして、この難局を乗り切ろう。


私は、そう心に決めた。


この際。


薄情な従弟殿には、犠牲の羊になってもらうことにする。


洗面台の下から花瓶を出して、ミニ向日葵とかすみ草の花束を活けながら、私は小さな計画を行動に移した。


「浩二ったら一緒に来ればいいのに、『俺は喫煙室にでも行ってる』なんて言うのよ。薄情なヤツよねまったく」


「浩二君が、そんなことを?」


「そうなのよ」


って、あれ?


ハルカって高校の時、浩二のこと、確か『佐々木君』って呼んでなかったっけ?


なんてチラリと不思議に思った。


でも、もう卒業してから七年も経つんだし、私が知らないハルカと浩二の接点があるのかもしれない。


何度か、お見舞いにも来ているみたいだし。


呼び方が変わっても、不思議じゃないか。