「何? 悪かったわよ、嘘つき呼ばわりしちゃって。ほらさ、知ってる人がテレビに出てたもんでビックリしちゃったのよ、ゴメンね」
さすがに気がとがめて、素直に謝った。
『それは、別に良いけど。……亜弓、今、付き合ってる男いるんだよな?』
「は? いるけど、なんで?」
脈絡のない質問に、浩二の言わんとすることが掴めず、眉を寄せる。
私に彼がいたら、どうだと言うんだろう?
伊藤君がプロサッカー選手になったことと、どんな繋がりが?
『いや……』
電話の向こうに流れる、微妙な沈黙。
何だか、何かを言いたいけど『ためらっている』そんな感じ。
こんな浩二は初めてだ。



