ドキン、ドキンと、うるさいくらいに鼓動が跳ね回った。


まさか。


まさかよね?


信じられない思いで、画面を目で追う。


その選手は、ブッちぎりでゴールを決めた。


わき上がる歓声。


そして流れるアナウンス。


『ゴール! 

逆転ゴールを決めました、伊藤貴史選手!

見事な、逆転ゴール!』


『イトウタカシ』って、言ったよね、今?


思わず、テーブルを脇に退けて、テレビの前まで這っていく。


再び彼が映るんじゃないかと、固唾を飲んでテレビの画面を食い入るように見詰めていると、ゴールの様子がスローモーションで再生された。


大柄だろうサッカー選手の中にあっても、飛び抜けた長身。


日に焼けた、小麦色の肌。


ボールを追う真っ直ぐな眼差し。


「伊藤……君?」


本当に伊藤君なの?