好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


静かに目を閉じ、あの日のハルカを思い出す。


私と色違いの、裾に赤い金魚柄が入った、淡い空色の浴衣から出た手足は、白くて折れそうに華奢なのに、


しゃんと伸ばした背筋と、真っ直ぐな眼差しは、とても力強くて。


そう。


その姿はまるで、太陽を凛と見つめ続ける、向日葵の花を思わせる。


向日葵は、どんなに強い日の光に焼かれたって、太陽を見つめるのを絶対やめない。


とても、


とても、強い花――。


「ハルカ……」


胸に忍ばせてあるハルカの手紙に、そっと右手をのせた。


振られた水風船が、今の私の心のように、ユラユラと揺れる。