もしかしたら。 伊藤くんには、もう既に、心に決めた女性がいるかもしれない。 例え。 そう言う人がいなくても、 私を、友達以上には思えないかも知れない。 もしも、そうなら。 私は、友達と言う、心地よい居場所さえ無くしてしまうかも――。 わき上がってくる不安に、思わず足が止まる。 「怖いよ、ハルカ……」 思いを伝えることが、こんなにも、怖いことだったなんて。 悪い結果だけが次々に浮かんできて、止まった足をすくませる。