好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


「うん、一応、婚約者だからね。親族の人たちと、控え室の方にいるよ。なんだか、色々やることがあって大変みたい」


「そうか……」


浩二は、たぶん来られないだろうって言ってたけど、来てくれたんだ……。


「伊藤君、今日から海外へ親善試合に行くって聞いたけど、大丈夫なの?」


「ああ。焼香をすませて、浩二の顔を見たら、すぐに戻らなきゃいけないんだが……」


「そっか。忙しそうだね」


「なあ、佐々木」


「うん?」


「佐々木は、大丈夫か?」


「え? あ、うん。大丈夫、大丈夫」


心配そうな瞳に覗き込まれて、私はブンブン頭を振った。