浩二の腕の中で、 まるで眠っているみたいに、微笑みさえ浮かべて。 ハルカは、静かに息をひきとった。 ほんの二十五年。 あまりにも早すぎる死を、他人は可哀想だと、不幸だと言うけど。 私は、そうは思わない。 だって。 ハルカは、最後に、特上の笑顔を見せてくれた。 可哀想な人間が、 不幸な人間が、 あんな満ち足りた笑顔をできるはずがない。 だから。 ハルカは、幸せだったんだ――。