「リンゴ飴の話をしてたら、なんだかリンゴジュースが飲みたくなっちゃった」
えへへと、ハルカは浩二に上目使いの視線を送った。
その視線を受けて、条件反射みたいに、浩二が、すうっと立ち上がる。
その表情は、ニコニコ笑顔。
「自販機のでいいのか?」
「うん。缶ジュースじゃなくて、紙パックのストロー付きのがいいな」
「はいよ」
おお。
ハルカはすでに、浩二の操縦法を会得している!
これは、後学のために、こっそりご教授願わなくては。
「亜弓は飲み物、何にする?」
「あ、いいいい。私が行くよ」
浩二に右手を小さく振って、立ち上がる。
ずっと私が病室に入り浸っているから、少しは二人だけにしてあげないとね。
「ちょうど、お母さんに電話をしなくちゃいけないから。浩二は、缶コーヒーでいいの?」
「ああ。ブラックな」
「了解」



