好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


「リンゴ飴の話をしてたら、なんだかリンゴジュースが飲みたくなっちゃった」


えへへと、ハルカは浩二に上目使いの視線を送った。


その視線を受けて、条件反射みたいに、浩二が、すうっと立ち上がる。


その表情は、ニコニコ笑顔。


「自販機のでいいのか?」


「うん。缶ジュースじゃなくて、紙パックのストロー付きのがいいな」


「はいよ」


おお。


ハルカはすでに、浩二の操縦法を会得している!


これは、後学のために、こっそりご教授願わなくては。


「亜弓は飲み物、何にする?」


「あ、いいいい。私が行くよ」


浩二に右手を小さく振って、立ち上がる。


ずっと私が病室に入り浸っているから、少しは二人だけにしてあげないとね。


「ちょうど、お母さんに電話をしなくちゃいけないから。浩二は、缶コーヒーでいいの?」


「ああ。ブラックな」


「了解」