「浩二、教えて」
「……」
「浩二」
「……」
浩二は、答えない。
ただ。
それだけが自分のすべきことだと言いたげに、厳しい表情のまま、集中治療室のドアを見つめている。
――そう。
そうなの。
そういう了見なら、もういい。
「分かった。
もうこれ以上は聞かない」
もう金輪際、従弟とは思わない。
やっぱりアンタは、世界で一番の最低野郎だっ!
ハルカのご両親がいる手前、さすがにその捨てゼリフは心の中に押しとどめて、傍らに立つ直也に視線を向ける。
「直也。悪いんだけど、手伝ってくれる?」
「ああ、なんなりと」
私と浩二のやり取りを静観していた直也は、快く了解してくれた。
浩二なんかに頼らなくたって、なんとかしてみせる。
ここには、こう言うのが得意な、直也って心強い味方だっているんだから!



