好きだと、言って。①~忘れえぬ人~


「浩二、教えて」


「……」


「浩二」


「……」


浩二は、答えない。


ただ。


それだけが自分のすべきことだと言いたげに、厳しい表情のまま、集中治療室のドアを見つめている。


――そう。


そうなの。


そういう了見なら、もういい。


「分かった。

もうこれ以上は聞かない」


もう金輪際、従弟とは思わない。


やっぱりアンタは、世界で一番の最低野郎だっ!


ハルカのご両親がいる手前、さすがにその捨てゼリフは心の中に押しとどめて、傍らに立つ直也に視線を向ける。


「直也。悪いんだけど、手伝ってくれる?」


「ああ、なんなりと」


私と浩二のやり取りを静観していた直也は、快く了解してくれた。


浩二なんかに頼らなくたって、なんとかしてみせる。


ここには、こう言うのが得意な、直也って心強い味方だっているんだから!