『もしも明日世界が滅ぶなら』 静かに目を閉じ、自分の心に問いかけてみる。 私が、世界最後の日に側にいたい人――。 ああ……。 私って、なんて救いがたいんだろう。 今になって。 明日は、直也のご両親に会いに行くという、今になって……。 「……亜弓の、バカチン」 絞り出した言葉が、しんと静まりかえった部屋の中に、ポツリと落ちていく。 浮かんだのは。 私の脳裏に、浮かんだのは。 直也じゃなかった――。