プチン――。 ブンブンと振り続ける指先に、ゴムが切れた感触が走った。 フッと、軽くなった指先に宿る言いようのない喪失感に、思わず手が止まる。 視線の先を、 コントロールを失った水風船が、放物線を描きながら、スローモーションで空を飛ぶ。 青い残像が、ゆっくりと尾を引き、 やがて、人波に紛れて消えていく。 あの水風船は、地面に落ちて割れるのだろうか? それとも。 誰かに踏まれて、割れるのだろうか?