「どうぞ。」



「想って漢字を分解すると相と心に別れるでしょ?」



「そうだな。」



「だからこの想って漢字は、
"相手の心は分からないけど、私はあなたの事を想っています。"っていう片思いの時の切ない気持ちを表してると思うんだよね。」


私は"想"って漢字を見るたびに切なくなるんだよね・・・。


自分と重ねてしまうから。



「言われてみれば、そうだな。相手の心が分からない、か。」



そう言って先生は私を見つめた・・・。



「何?」



「いや、俺は柏木の心が分からないな。って。」


心が分からない。なんてショック・・・。


心さらけ出してるつもりなんだけどな。



「そんな寂しそうな顔するなよ。柏木のいつもの心は分かってるよ。違う心の方。」



「違う心って?」



「さあ、なんでしょう?」



「わからないよ~!」



「じゃあ、考えながら風呂入っておいで。」



「言われなくても入るもん!」


タンスから適当にTシャツをとってお風呂に入りに行くことにしたけど、答え教えてくれたっていいじゃない。



いじわるな先生・・・。