「おじゃまします。」


俺は柏木の部屋に足を踏み入れた。



「先生、そんなにかしこまらないでよ。」



「一応、礼儀としてな。」


柏木の部屋は薄いピンクを基調にした女の子らしい部屋だった。

あたりには、ぬいぐるみとかも置いてあったりして、
部屋の真ん中には俺と柏木の布団がふたつ仲良く並んでる。



「狭くてごめんね。」



「いや、大丈夫。」



「ちょっと待っててね。」


そういって柏木はぬいぐるみを机まで取りに行って両手で大きなぬいぐるみを大事そうに抱えて戻ってきた・・。



「そのぬいぐるみ、大事そうに持ってるな。」



「うん。このぬいぐるみはね、私がひとりぼっちになる前から一緒なんだ。」



「そっか。」

柏木は悲しそうな表情をして、ぬいぐるみを強く抱きしめた。



「だから、このぬいぐるみは、私の全てを知ってるの。」



柏木のすべて・・・。


俺も柏木のそばで、柏木のすべてを知りたい・・・。



あれ?俺ってこんなに我が儘だったっけ?