そのあとはどうやってはる君の家まで帰ったのかも覚えていない。
ぼーっと突っ立って
ある一点だけを見つめていたら
「………歩夢?」
とはる君に下から顔を覗かれて
「は、はいっ!」
とびっくりし勢いよく
返事をして少し後ずさる。
「風呂、行っておいで。」
「…へ?」
「…それとも俺と一緒に入る?」
はる君がニッと口端を上げて
意地悪そうな笑みで言った。
「!!!…っええ?」
と大きな声で驚いて目を見開く。
はる君はそんな私をみてクスッと笑うと
「やっと…普通の歩夢に戻った。」
そう言って私の頭を撫でた。
きっとこの冗談ははる君の優しさ。
―…この優しさに
何度助けられているのかな?
「…じゃ、行っておいで。
出たらオムライス作ってやる」
綺麗にたたんである洗ったばかりのバスタオルを私に渡して微笑んだ。


