【完】ポケット-幼なじみ-




「…大丈夫、とはまだ

 言えないけどわざわざ
 来てくれてありがとうね」


そう言っておじさんは

再び優しく微笑んでから

自分の顔の前で指をあわせた。





「……っ……なんで」





目頭が熱くなる。





思わず胸辺りから

何かが込み上がってきて

呼吸が苦しくなり

近くの壁によっ掛かった。




―――ねぇ…神様、





あの時――



私が千夏を疑った罰ですか――?







私が――私が――疑ったから。








―――――――――私のせい。