【完】ポケット-幼なじみ-




「………おじさん…?」






思わず自分の耳を疑った。








「…あぁ、よく覚えていたね。

 3年ぶりじゃないか?」




と優しく微笑んだ。









千夏のお父さん――――――。







正直、声をかけられなければ

わからなかったと思う。









それくらいおじさんは

外見がかわっていたのだ――。








優しい目は変わらず、


顔にはシワが沢山できて


少し疲れたような顔をしている。








「……おじさん……千夏は……」






「…………。」一瞬間があいた。







その間が私をあせらす。









「……意識不明の重体らしい。」





と言ったおじさんの

低い声が静かな廊下に響いた。