【完】ポケット-幼なじみ-




「………………。」





難しい………と再び手が止まる。






はる君がひらいたまま本をテーブルに置いて再び教科書に目を移す。






「あぁ、ここね。これは……」



と説明してくれているはる君をじっ、と見つめる。






   はる君は、モテる。


  ――けれど彼女とか


  出来たこと…あるのかな?





幼なじみだけど、そんなこと一度も聞いたこと無かった。





私はまだ彼氏なんて一度も出来たことなんてないけど、はる君はきっとあるんだろうな。











―――――――――チクン、









胸に針が刺さったみたい――、










「――…歩夢?……聞いてる?」






「う、うん」




と鉛筆を持つ手にぎゅっと力をいれた。