【完】ポケット-幼なじみ-



全身の力を込めて、思い切り突き飛ばしてしまった。




ぱら、っと目の締め付け感が無くなり、視界が元に戻る。







「…ごめんなさいっ」








ベッドから落ちてしまった男の子にペコッと頭を下げて、鍵を握りしめて立ち上がり、ベッドから逃げ出す。








やっぱり、手首が痛い。



今のでちょっと悪化したかも。






そう思いながら、ドアを開け教室を出ようとするとぐらっと視界が反転して、床に倒れ込んだ。








「…いった…っ…」








「…すぐ終わらしてやる。」







そういって私の上に乗ると、さらにぎゅっと、頭の上で手を結ばれて手の自由を奪われた。






ツツーッと男の子が私の首筋をなぞる。







「や…だ。」






泣いたら負けな気がしたから、泣かないって決めてたのに思わず涙ぐむ。





そんな私のことも見ずに、カーディガンのボタンを外していく。





男の人ってこんな人ばっかりなの…?







怖い……………もう嫌だよ。





真井さん、ずるいよ…。




こんな方法までして、私に勝ちたいの…?






こんな方法で手に入れた勝利は嬉しいの?



もう、負けてもいいかな……






そんな考えまで浮かんでくる。







だって逃げ切っても、時間が無いよ…。





いつの間にか…ワイシャツのボタンまで外されていた。






寒かったから、と中に着ていたシャツ。






それを上にと、めくり上げると下着の上から触り出す。






……もう、何も感じない私の心。


ごめんね、千夏にはる君……。