【完】ポケット-幼なじみ-






やだ………………










ふと、嫌な記憶の一つの夏のあの日のことを思い出す。













あの時ははる君が助けに来てくれたからまだ、









良かったけれど………








今回は、







誰も………助けてはくれない。










助けられたら負けになっちゃう…







これは私と真井さんとの、一対一なんだから。










スッ、と私の顔に触れる手。










「…っや」











顔が見えないだけに、恐怖が増す。













雰囲気でわかる…、近くにいるのが。












「…仕方ねーけど」










と呟く人の声にぞくり、と鳥肌が立った瞬間、私の唇に吐息がかかる。











やだやだ…










――――――――――ドン、