【完】ポケット-幼なじみ-






どこだろう―――







ゆっくりと目を開ければ視界がぼやける。








誰かが私の頬を触ってて、温かいその手は安心する。








「せ…ん……ぱい?」









まだちゃんと見えてない私は、呟くようにそう聞いた。









「…………。」








何も答えてくれない。








でもきっと……先輩、だよね。









…………はる君なわけがない。








でも、微かに鼻を掠るのははる君の匂い。









……熱で頭も鼻もおかしくなっちゃったかな。







このまま、はる君のことなんて忘れられたらどんなに楽なんだろう。








「わ…たし……いっそ…
 先輩と付き合っちゃおうと…
 思いました。」








「わたし…最低、ですよね」







ふっ、と笑って見せ顔を先輩に見られない方向に顔を向け、また涙を流した。










………ほんとに最低、だよ私。