「……すごい人だね?」 いつの間にか隣に居た、戸塚先輩が言う。 夏のあの日以来、会っていなかった先輩。 「初めてみたけど、」 そう先輩は付け足して私を見た。 だから反射的に一歩下がった。 もう戸塚先輩とは関わらない、って約束したから。 「…なんにも、しないけど?」 先輩はそういいながら、座った。 ブー、ブーっと手に持っていたマナーモードにさっき設定した携帯が鳴った。 ナイスタイミング…。 心の中でそう呟いて先輩に背を向けて電話に出ようとボタンを押したと同時に手を引っ張られた。