――がらりと、いっきに空気が変わった。
はる君たちがいる場所だけ、静かで知らない場所に思えた程だった。
張り詰めた空気。
さっきまでの秋の風景なんて気にならない。
あぁ、これが――役者なんだ。
ゾクッと鳥肌が立ち、背筋に冷たい汗が伝う。
息もするのも惜しいくらい、周りの人全員がはる君たちにくぎづけになる。
遠すぎて言葉は全ては聞こえないけど、表情から変わった。
演技をしているはる君は私の知らない陽斗の顔でとってもキラキラしてた。
……もう少し、近くでみてみたいかも。
そう思ってはる君が、完璧にみえる邪魔にもならず、気付かれない程度の場所まで動いた。


