バッグから携帯を取り出して千夏の意識が戻った事を報告しようとメールを作成する。
ピッ、と送信ボタンを押して送ると一分もたたずに電話が鳴った。
着信の相手は……はる君。
なんで電話なんだろ、そういいながら電話に出た。
「…はい、もしもし。」
「……陽斗の
マネージャーの和田です。
いきなり申し訳ありません。」
声の主がはる君じゃないことに不安な気持ちがつもっていく。
「陽斗の
幼なじみの蒼井さんですよね?
陽斗が仕事中に風邪で
倒れたのですが
〇〇駅まで来れますか?」
はる君が……風邪?
もしかして昨日、私のために
雨に濡れて帰ってきたせい?
そうとしか、考えられない――
「今から行きますっ。一時間後」
「ありがとうございます。
お待ちしています。
では、失礼します。」
ツー、っと電話は途切れて私は告げられた場所に向かった。
駅に着くと人が沢山いたし
見たこともないはる君の
マネージャーさんは私に
みつけることは出来なかった。
するといきなり肩を叩かれて振り返ると
「和田です。
―――こちらです。」
とペコッと頭を下げられた。
和田さんの後をついて行き、はる君のいるホテルに案内してもらった。


