「……生きたくなかったんだ。」
千夏の口から出た予想もしてなかった言葉に私は目を丸める。
「外見で小学校の
ころからイジメられて。
友達なんかもいなくて。
中学校や高校なんて考えると
本当に苦だった。」
千夏の声が震えている気がして、心が痛くなった。
「でも、そんな私に
話し掛けてくれる子がいた。
それが……あゆだった。」
顔をあげ私に視線をうつしながら言った。
「初めて出来た友達で。
あゆがいた、それだけで
イジメられても毎日が
楽しみでしょうがなかった」
じわっと視界がぼける。
「でもイジメは
エスカレートして
あゆにも相談
しようかと何度も思った。
だけどそれを言って
せっかく出来た初めての
友達を失いたくなくて。
…そう考えると
どうしても言えなかった。」
「………ってよ。」
私が突然、口を開いたから千夏が少しビックリしたらしい。
「これからは言ってよ、全部。
一人で抱え込まないで?」
私がそう言うと千夏の目からボロっと涙が落ちた。
千夏は自分の手で涙を拭うけど
「…あれ、止まらないよ。
あゆのせいだよ。」
そういって泣きながら笑った。
検査のために入って来る看護師さんは、泣き笑いしてる私達を見てびっくりしていた。
「じゃあ、また来るから。
検査頑張ってね。」
「ありがとう、あゆ。」
ばいばい、と手を振って病院を出た。


