【完】ポケット-幼なじみ-





「ちなつ……?」






おばさんが千夏に寄り添うようにそばに行く。






千夏が目をゆっくりと開き、





窓から入ってくる光が






眩しいのかすぐに目を細める。









「……お母さん。
 ちょっぴり、老けたね。」






隣にいるおばさんをみて千夏はへへ、っと笑いながら話す。





けれどそのおばさんは涙を流している。






泣いているおばさんの背中をおじさんは優しく撫でた。







千夏は周りを見渡して私を見ると



「お父さんにあゆ。
 ごめんね。ありがとう。」






と笑顔で言った。





久しぶりに見た千夏の笑顔はとっても輝いて見えたんだ。






なんとなく、私も泣きそうになってバレないように、と笑顔を作った。








これから、毎日話せるんだよね?








千夏には話すこと、たくさんあるよ。










「…津田さん、失礼しますよ。」





看護師が用具を持って入って来る。





目を覚ました千夏を見るなり、看護師さんは驚いて急いで先生を呼んだ。