このストーリーは幼なじみの女の子に重い病気を抱えている俺が恋してしまうという切ない話しだった。
「はい。テイク1―…」
『もう…無理なんだよ。』
ストーリーの中での彼女に言う。
『無理じゃないよ!なんで
そうやって決めつけるの?』
『……無理だったんだって、最初から…』
――――――――――パシン、
頬に軽い痛みが走る。
そのあと彼女は俺に抱き着く。
『お願いだから……目を…覚まして…』
雨に濡れながら言う彼女も真剣。
そんな彼女の抱き着かれている腕をそっと、とって見つめ合う。
顔をゆっくり近付けてキスをする。
深く長いキスをしたあと雨の中でまた抱き合っていた。
「カット―――――――」
監督の声が聞こえて俺は素早く彼女から離れて口を袖でこする。


