「……ありがとう。」
終わったあと私がお礼を言うと
「じゃ、俺と付き合っ……」
高原くんが冗談っぽく言おうとすると後ろから手が伸びる。
その手に頭を思いきり叩かれると「いってえ」と叩かれた場所を抑えながら、後ろを見る。
「ごめんね、歩夢。
すぐ調子のるから、全く。」
あかりちゃんが困ったような顔で言った。
あかりちゃんは高原くんと腐れ縁らしい。
小学校からずっとクラスも同じだったってあかりちゃんが言ってた。
「うんん、大丈夫。」
私がそういうとあかりちゃんは高原くんを睨む。
「…あかり、そんなんだから
いつまでも
彼氏できねぇんだよ。」
まだいてて、と顔を歪めながら高原くんが言う。
「…う、うるさいっ」
もう一発、あかりちゃんが叩こうとすると高原くんがあかりちゃんの腕を掴んだ。
「あっぶね」
そういう本人は気付いてないみたいだけど、掴まれた瞬間あかりちゃんの顔が赤くなってる。
「ばか、はなせっ」
高原くんの手を振り切ってあかりちゃんは走って教室から出ていってしまった。
「なんだろ、あいつ。」
ぽつりと高原くんが言う。
……皆それぞれ、恋の形があるみたい。
あかりちゃんをみて私も頑張らなきゃと思う。
ああやって真っ直ぐ好きな人に向かっていけるように。


