【完】ポケット-幼なじみ-






「それはちゃんと
 思ってる、だけど…っ」






そう言いかけた途中で目から今まで我慢していた涙が溢れ出す。







「好きなんでしょ?陽斗のこと。」






改めて“好き?”と言葉にして言われると、胸が苦しい。







「…………うん」







頷きながら泣いていると輝くんは私の頭をぽんぽん、と優しく叩いた。






これまでは普通の動作だけど輝くんがやると身長が足りないため、わざわざ立って私の頭を叩いてくれたから、ついつい笑ってしまった。









こういうところが好かれるんだよね、きっと。








「泣くか笑うか
 どっちかにしろっ。」






輝くんが恥ずかしそうに顔を赤らめる。






「…ふふ。しばらく無理っ。」









「絶対、身長抜かしてやるっ」






拗ねながら輝くんが言った。








ころころと変わる





輝くんの表情はみてて飽きない。






「ありがと、ね?」





涙を拭いて私が言うと




「いつでも
 相談くらいはのってやる」






と笑顔でそう言ってくれた。









ほんとにありがとう、輝くん。






心の中でもお礼を言って二人で教室へ戻った。