「…ん。」
中庭にあるベンチに間を空けて座ると、お弁当が返される。
「……ありがとう、……いただきます。」
返されたお弁当を開いて食べはじめる。
「…………………」
そういえば、中庭でお昼は初めてかも。
お花とか紅葉とかが見れて
結構、楽しいかも。
さわさわと、優しい風が髪の毛を撫でて。
お互い喋らないで食べていると輝くんが急に言葉を発した。
「……………なぁ」
「なに?」
「陽斗の事だけど……さ」
その名前を聞いて、動いていた手がとまった。
陽斗、その名前を聞くのは結構辛い。
「……………私、が言ったんだ」
質問される前に言うとやっぱり、と言うような顔で私を見た。


