「………歩夢。」
名前を呼び、はる君は私の頭を素早く引き寄せて触れるだけのキスをした。
あまりにもその動作が早過ぎて、なにされたのか少しの間わからなくなった。
…い、今……キス、された…よね?
目に溜まっていた涙がポタリと落ちてはる君の顔がくっきりと見えはじめる。
一瞬だけど触れたはる君の唇は
あったかくてやわらかかった。
「………俺…も汚い?」
切なそうな声でいいながらはる君は私の頬にキスを一つ落とす。
「…き…た……なくな…い。」
首を横に振りながら答える。
するとはる君はいつもみたいに優しく微笑んだ。


