【完】ポケット-幼なじみ-






「…はる君……」



まだ眠れないのか歩夢は小さく俺を呼んだ。





「……うん?」




「…………手、繋いでて?」



歩夢が片手を目の前に出していった。








――――――――ドキッ











何も答えない俺を見て歩夢が

上目づかいで



「………だめ?」と聞く。










――熱がある、なんて反則だ。












「…っ寝るまで、だからな。」





そういいながら歩夢の

小さな手を自分の手で包んだ。







「…えへへ…ありがと……」




と歩夢は嬉しそうに笑った。








手を繋ぐと歩夢は直ぐに寝た。






幸せそうな顔して。







俺だって、一応男の子

だってことわかっているの?





歩夢がしっかり寝たことを

確認して手から放していくと、




「…き」



ボソッと寝言が聞こえた。







――でも





一瞬、聞き間違いかと思った。