【完】ポケット-幼なじみ-



ぼーっと立っていた歩夢に

そっと後ろから歩みよって

冷たいペットボトルを頬に当てた。







「わっ…!!」









歩夢が驚いて大きく肩が上がった。











「…………あげる。」







後ろからそう言うと歩夢は

ゆっくりとこっちに顔を向ける。













「びっ…びっくりしたあ…
 …はる君か。あ、ありがとう。」








俺の手からペットボトルを受け取ると大事そうに両手で持った。









「…どう致しまして。
 それと、ごめん。遅くなって」










「…大丈夫。また、
 知らない人に声かけられてた?」







歩夢が少し目線を

下に落としながら言った。








「…あー、うん。……見てた?」









「…うんん、なんとなく。」





「…そう。……でも歩夢と
 いる方が大事だから。」




「…え?」



歩夢が目線をあげる。






「…二度も言わないよ、行こ」






熱くなった顔を隠す為に歩夢に背中を向けた。