スウィーツなキミ





双子の黒ずくめが言う"普通"とは何なんだろう。

無駄にでかい門から入って行く車の窓から外を見ても、お城…みたいな学校は遥か先。

どれだけ広いかわからないような庭。車道を挟むように両脇には綺麗な庭が広がる光景はもはや日本ではない気がして来るくらいだ。



「………これ、普通?」


「普通だろ。」


「僕達は見慣れてるからね…。相原さんもすぐなれますよ。」


「ゴメン。できればコレには慣れたくないわ…。」



口が半開きになってる自覚はあってもそれを閉じる余裕はない。

双子の声にボソリと返しながら視線の先にある噴水を見つめながら小さくため息を吐いた。



「本館に着く前に仕事の説明をさせていただいてよろしいですか?」


「仕事?仕事……あぁ、そうだよね!私バイトしにきたんだ。」



目の前のお城ですっぽり抜け落ちた情報を陸に言われ、思わずポンっと手を叩いて苦笑い。

陸もそんな私に苦笑いを見せながら一つ咳ばらいをして徐(オモムロ)に口を開いた。