「アテが外れたな、裏(こっち)でもセンツァー社は謎だらけだ」

「まあ、とにかく頼むわ。センツァー社の事、何か分かったらそれも教えて」

「―ったく、オレは公安の人間でも、使いパシリの情報屋でもないぞ」

 
紅い紙箱を黒い外套から取り出し、紫苑は不満そうに露花に視線を投げやる。

その隣で視線に気付きながらも、露花は素知らぬ振りで、

「ー裏じゃあ、鉱石人形は相当高く取り引きされてるそうね、…そのため、情報だけでも高値で売れるとか、」


何が言いたい、と尋ねるまでもなくー
 ヤレヤレ…と、紅い煙草を唇にくわえ、火をつけた。