サクラを縛る言葉。

 ずっと、これからもずっとー


紫苑は紅い煙草を唇にくわえ、火をつけた。


「―橘はお前に、自由に生きろ、と」


紫苑の言葉に、サクラは顔を上げる。

「ーパパが?パパがそういったの?」

「ああ、あの時―、橘の声が微かに聴こえた。サクラ、自由に生きろ。と…」


 燻る煙が、大きく揺れる。

「そう…、パパがー」


寂しげに、だが、どこか晴れる心を表す様な表情に見えた。


(…自分勝手な、解釈か)


サクラの表情から目を逸らし、溜め息とともに、煙が再び大きく揺れた。


「さあ、どこに往く?」