(どうして―…、さっきまであんなにサクラを離さないと…) 紫苑は橘の背後にセイの姿を見つけ、ハッ、とした。 「橘!飛び降りろ、受け止めてやる」 紫苑が叫ぶ。 だが、橘は応えようとしない。 「パパ!!」 サクラの言葉にも応えようとはしない。 「逃がしはしないよ、あの人形にもあんたにも、高額かかってんだから」 橘の後ろで、まだ幼さの残る声が冷たい言葉を発し、可愛らしい顔が、とても冷たい表情を見せる。