ベンチに座ると、唇に手を当てた。


ここに、さっき橘くんの唇が……。

本当だったら好きな人との、キス。


嬉しくて嬉しくてたまらない筈なのに……。



橘くんは私を由菜だと思ってしたんだよね。


当然だよね……。
由菜のフリをしてるんだから。



橘くんとキスしたことで、由菜を裏切ったような複雑な気持ちになった。


由菜にも橘くんにも、ごめんね……って気持ちが浮かんでくる。