橘くんはよりいっそう力を込めて手をギュッとしてきた。 ドキドキする鼓動。 私は由菜じゃないのに……。 いま、隣に座って映画を観ている私は由菜じゃない、美菜なんだよ? 本当だったらココにいるのは由菜で、橘くんと手を繋ぐのも由菜だった筈なのに……。 橘くんにドキドキして由菜に悪いと思う気持ちと、橘くんを騙して悪いという気持ちが混ざりあって。 とても複雑な気持ちになった。