言いかけて気付く、 彼の黒いコートの中に、鈍く光る、銃。 『聞いたか?この街に中央都(セントラル)の公安局で、 手配中のヤツが逃げ込んでるって話、』 『らしいな、1年前から手配中で、見つかってなかったヤツだろ? 何でも公安の情報を裏に流してた、裏切り者らしいじゃないか』 思い出す、流れ移りゆく、街の噂話。 なんで… なんで、こんな時に思い出すのよ? 私は、震える掌で、 斗哉の冷たい手を握りしめた。