「今日はここまでにしとこーぜ」
そう光流が言ったのは、まだ5時半を過ぎたばかりの時刻だった。
よし、ラストに一発、気ィ締めていくかーッ! と、意気込んだ矢先のことだ。
その言葉を受けた僕ら3人、不意を突かれて光流を眺めるしかなかった。
「お、おい光流。まだ5時半じゃねーか。今日は確か6時までじゃ……」
「そのつもりだったけど……これ以上続けても無駄な奴が1人、いるからな」
超シビアなそのセリフに、僕らはそろって黙り込んだ。
――言わずとも知れたこと……そんなの僕に、決まってる……。
光流だけでなく、ケンやトシだって、とっくに気が付いているはずだ。
「光流……それはちょっと言い過ぎじゃあ……」
「いいんだ、トシ。その通りだから……」
見かねて僕を弁護しかけたトシの言葉を、あえて自分から遮る。
「ごめん、やっぱ光流の言った通りだ。続けてもたぶん、調子戻んねーよ……」
「聡……」
「迷惑かけて、ホントごめん……」
「…………」
何か言いたそうな、一瞬の沈黙。
そして光流の声が、部屋の白けた空気に響き渡った。
「決まったな。じゃ、これで解散! 明日の練習、遅れるなよ」
そうして皆、それぞれの楽器を片付け始める。
「あと、聡」
僕が肩からベースを下ろした時。
やはり光流からの声がかかった。
「おまえはちょっと残ってけ」
「わかってる……」
ある程度予想していた言葉だったから、もう覚悟はできている。
僕は傍らの椅子に座り込み、コードを掴むとそのまま勢いよくアンプから引っこ抜いた。
そう光流が言ったのは、まだ5時半を過ぎたばかりの時刻だった。
よし、ラストに一発、気ィ締めていくかーッ! と、意気込んだ矢先のことだ。
その言葉を受けた僕ら3人、不意を突かれて光流を眺めるしかなかった。
「お、おい光流。まだ5時半じゃねーか。今日は確か6時までじゃ……」
「そのつもりだったけど……これ以上続けても無駄な奴が1人、いるからな」
超シビアなそのセリフに、僕らはそろって黙り込んだ。
――言わずとも知れたこと……そんなの僕に、決まってる……。
光流だけでなく、ケンやトシだって、とっくに気が付いているはずだ。
「光流……それはちょっと言い過ぎじゃあ……」
「いいんだ、トシ。その通りだから……」
見かねて僕を弁護しかけたトシの言葉を、あえて自分から遮る。
「ごめん、やっぱ光流の言った通りだ。続けてもたぶん、調子戻んねーよ……」
「聡……」
「迷惑かけて、ホントごめん……」
「…………」
何か言いたそうな、一瞬の沈黙。
そして光流の声が、部屋の白けた空気に響き渡った。
「決まったな。じゃ、これで解散! 明日の練習、遅れるなよ」
そうして皆、それぞれの楽器を片付け始める。
「あと、聡」
僕が肩からベースを下ろした時。
やはり光流からの声がかかった。
「おまえはちょっと残ってけ」
「わかってる……」
ある程度予想していた言葉だったから、もう覚悟はできている。
僕は傍らの椅子に座り込み、コードを掴むとそのまま勢いよくアンプから引っこ抜いた。