「分かったわよ!ついて来てもいいけど、生徒だって事だけは秘密にしてね」


「なんで?」




なんでって。



だって軽蔑されるかもしれないじゃない。



異性の生徒と2人きりで夏休みに遊んでる教師なんておかしいよ、絶対。




「…なんでも!!」




成宮くんを置いてズカズカと足を鳴らしながら早足で歩いた。





「美羽〜!遅いよぉ」


「ごめん、ごめん」




駅のロータリーでプリプリしながら手を振っているのは

高校の時からの友人、智子(ともこ)。





「ところでそのイケメンは誰?」




智子は私の後ろにくっついている成宮くんを見ると、目をキラキラと輝かせた。




「ごめんね。追い払ったんだけど付いて来ちゃってさ」


「はじめまして。美羽の彼氏の成宮 理人です」


「うっそ!!美羽、いつの間に年上の彼氏作ったのよ!?」




いや、彼氏じゃないからね。



……ってか、年上?





「ぷっ…あはは!私より年上に見えるってさ」


「うっせ、童顔。みーちゃんが幼過ぎるんだよ」




アナタが老け顔なだけでしょ。


失礼なっ。





「超羨ましい!どこで引っ掛けたのよ!?」




引っ掛けたって…


人聞きの悪い事を。






「俺が惚れたんです」




どことなく優しい成宮くんの声にドキッとした。





「みーちゃんの生徒の為ならヤンキーにも平伏さない強さに」




ヤンキー…?


あ―…あの時の。




そういやあの出来事があってからだったな。


成宮くんが私に構うようになったのは。




アレがきっかけかぁ…。