「…ふぅ」



嵐が去った…そんな感じね。





もう成宮くんのペースには慣れてきたけど。





「それより片付け、片付けっと。…夏休みの補習のプリントはどこに仕舞ったっけ?」




…夏休み…。



本当に会いに来ないのかしら。




いやいや。

夏休みは1ヶ月もあるのよ?


あの成宮くんが一度も会いに来ないワケがない。




きっとまた勝手に部屋に入って来たり


何処からともなく現れたりするに決まってるわ。





…そう、だよね?







「…もうっ!!」




自分でも何がしたいのか分からないまま、教材室を飛び出した。





「成宮くんっ!」




私が向かった先は、下駄箱。



下駄箱で靴に掃き変えている成宮くんを呼び止めると、成宮くんは振り返った。





「みーちゃん?どしたの、こんな所まで追い掛けてきて」


「そのっ…」




私…何しに来たんだろう?



成宮くんに用なんてないのに…。





「愛の告白?」


「違うっ!!」





なーんだ、と悪戯に笑う成宮くんを見たら


体のどこかがドクンと音を立てた。