「そのセンセー凶暴だから手ぇ出さない方がいいよ」



聞き慣れた声が聞こえたので重い頭を上げると


そこには成宮くんがいた。




な…んで成宮くんが…?

まだ授業中でしょ?




熱上がり過ぎて幻でも見てるのかな。





「何だ、お前」




男達は私の手を掴んだまま成宮くんを睨みつけた。





「俺の事なんてどうでもいいでしょ。それより…」




ヘラヘラと笑っていた成宮くんの表情が、一瞬にして鋭くなった。





「俺の許可なしにベタベタ触ってんじゃねぇよ」




成宮くんは男から私の手を奪うと

胸に私を抱き寄せた。





俺の許可なしにって、なんで成宮くんの許可が必要なのよ。


また勝手なことを…。





でも…

成宮くんの腕の中がこんなにも安心するのは、どうしてだろう。





「…おい、この人…成宮さんじゃねぇか?」


「は?成宮さんってあの中学生にしてここいらの族を統一したっていう伝説の…?」



族を統一って…。


何やってんのよ、成宮くんは。



この子、元ヤン?




あぁ、でもだから

先輩後輩関係なく“さん”付けで呼ばれてるのか。





「暇潰しでやったアレのことか。まだ覚えててくれる人いたんだ」




しれっと言いのける成宮くんを見て男達は青ざめた。





「すみませんでしたぁぁ!!」



そのまま走り去る男2人。




…カッコ悪っ。