まだ教師になって3ヶ月。



きっと成宮くんは

新米の私を馬鹿にして喜んでるんだわ。




確かに口先ばかりで頼りないもんね、私…。





「今日も成宮にイジメられたの?桐谷先生」


「…中原先生」




屋上にやって来た中原先生は私と同期の教師。



明るくて活発な中原先生は生徒からも保護者からも大人気で


いつも同期の私を気にかけてくれる優しい人。





「はい、これでも飲んで元気出しなって」


「ありがとう」




中原先生がくれた紙パックのカフェオレをちびちびと飲む。


程よい甘さが悲しい気持ちを緩和させてくれる。





「大丈夫だよ。桐谷先生の頑張りはいつか必ず成宮に伝わるから」


「そうかなぁ…」


「そうだよ。だから、一気に頑張ろとしなくていいんだ」




ニッと笑ってくれる中原先生を見たら、堪えていた涙がポロポロと零れてしまった。



泣いちゃ駄目なのに。


教師になる時にちゃんとそれなりの覚悟をしていたのに。




涙を拭おうとすると中原先生に頭を撫でられた。




「生徒の前じゃないんだから泣いてもいいよ。我慢するともたないよ?」


「…うん。ありがとう…」






同期なのに余裕がある中原先生が凄く羨ましくて、ちょっと憎たらしかった。