君を想えば

「なに泣いてんだよ。」

「だ…、だって、

嬉しくて…!!!」

「嬉しくて泣いてんの?」

「うん…!!!

私、康介からはなんにも思われないって思っちゃって、

昨日はすごく辛くて、

悲しかった。」

「………。」

「だからこそね、

今すごく嬉しいの。

康介の彼女になれたことが、

すごく嬉しい…!!」





康介は優しく私の頭を軽く撫でた。

そしてその手で、

私の涙を拭ってくれた。

「俺、最初からお前が好きだった。」

「え?」

「……好きとか照れんな。

もう言わねー。」



康介の顔が、

一気に赤くなった。

それがすごく面白くて、

とてつもなく愛しく感じた。


「私だって、

ずっと康介のこと好きだったんだから。」

私の気持ちを伝えると、

さらに康介の顔が赤くなるのが分かった。




「康介顔が赤くなってる。」

康介のことを指差すと、

「うるせーし。」


と、

いきなり私を力強く抱きしめてきた。

すごく驚いたけれど、

やっぱり嬉しさの方が何倍も大きくて、

私も康介の背中にきつく腕を回した。



康介のにおいがする。

落ち着く。

温かい。

また、

涙が流れた。